Translate

2013年10月18日金曜日

子どものチカラ

数年前に、今の職場の先輩から譲っていただいた幼稚園での絵クラブの講師アルバイト。
今日はその日でした。
あれから人数が3倍くらいに増え、今は出身大学の後輩にも手伝ってもらい、沢山の子ども達との触れ合いを続けさせてもらっています。
この仕事を始めた最初の頃は、「子ども達に楽しんでもらえなかったらどうしよう…」などと心配し過ぎて子供たちを前に怯みそうになる日もありました。

現在、5年経った今、子ども達の創作する姿の中に自分の身を置くことで、心の疲れが洗われていくように感じます。

初めて小学1年生で会った子が、今は小学6年生。
そのころから今まで、一言も言葉を発してくれたことのない子がいます。
意思の確認は、「~がしたい??」ではなく、「あれがしたい?それともこっちの方がいい??」と、彼女のイエスかノーを、僅かなうなずきや首ふりだけで判断するしかありません。
だけど、彼女は必ず教室に来て、もくもくと作品を作っていってくれます。
高学年になったら、キャンバスボードやキャンバスにアクリル絵の具で絵画を描いてもらうのですが、先月に彼女がキャンバスボードに描いた絵はびっくりするものでした。

それは、雷の光る嵐の海原に人が一人乗った小さなボート。

彼女は何度もその絵と向き合って、ちゃんと一人で完成の仕上げまで進めました。
完成のときに題名をつけるように伝え、彼女がつけた題名は…「困ったときの私の心の中」。

これを見て、私はとっても切なかったけど、嬉しい気持ちも感じました。
絵なら、こんなに強い意志を表現できるんだなと。
彼女がこの絵を描いてくれたから、彼女の気持ちを知ることができたし、なによりも、彼女に意思表示をする場所と術があってよかった!!と。

子どもは大人よりも知識や力が備わっていない中で、大人社会よりも野生に近い厳しい環境で様々なことに耐えていると思います。
その、耐えて、耐えて、硬く固まったものを、柔らかくほぐして放出させる時間と場所を与えてあげないといけないって、やっぱり思いました。
間違っても社会一般的なタイムテーブルや目先の理想の為に、それを奪うことをしてはいけない。
そして、良いか悪いかで判断せず、共感し、寄り添う美術でありたい…

子どもの持つ、大人よりもずっと強いチカラは、その術を自然と見出し、発揮させることができるということです。

今日も子供たちに励まされました。

0 件のコメント:

コメントを投稿